2018年3月1日から正式サービスを開始したばかりの新作MORPG『Ar:pieL(アルピエル)』のプレイレポートをお届けします。
本作は韓国のゲームスタジオ「Ngine Studios Corporation」を中心に開発され、学園生活×ファンタジーという組み合わせで、可愛らしい獣人たちが暮らす世界を舞台にした作品。
プレイヤーはウサギやヘビ、センザンコウといった動物たちをモチーフにデザインされたキャラクターを使って、インスタンスダンジョンやレイドダンジョンの「攻略」から、生活の拠点となるフィールド上で植物や動物から素材を収集して「製作」が楽しめます。
先行して韓国や台湾などでサービスが展開されていましたが、日本では2018年1月にクローズドβテストが実施され、2月にオープンβテスト、そして3月1日から正式サービスが開始されました。
まだまだ“これから”な新作『アルピエル』をオープンβテスト、正式サービスにかけて約2週間プレイした筆者が本作をレポートします。
獣人たちが暮らす世界を舞台にしたMORPG「Ar:pieL」
何者かの手によってバラバラになってしまった世界を復元するべく設立された組織「アルピエル学園」。プレイヤーは学園に入学してきた新入生という立場から物語がスタートし、数多くの課外授業をこなして成長していくというストーリーが描かれます。
キャラクターは現時点で「アイリーン(うさぎ)」、「ルー(リス)」、「カイル(ベンガルヤマネコ)」、「ユエ(ヘビ)」、「バイン(センザンコウ)」の5キャラが実装されており、今後も新キャラの実装が予定されています。
各キャラには学園へ入学してきた動機を描いたショートアニメが用意されており、これらはYouTubeで公開されています。それぞれが「学園」に何を抱えてやってきたのかも、物語を楽しむうえで重要な要素となるので、ストーリー重視のプレイヤーはチェックしておいたほうが良いでしょう。
さっそく筆者もプレイキャラを選択。「バイン」はセンザンコウが持つ攻守一体のうろこを意識してか「盾」が武器となっていたり、「ユエ」なら毒を使ったスキルが用意されていたりと、各キャラにはモチーフになっている動物にちなんだスキルや装備が用意されています。
そういった点を踏まえて筆者がチョイスしたのは「ユエ」。蛇好きなので。キャラボイスはみくみくみさんが担当しています。
ストーリーはネタバレを嫌う人もいるだろうということで割愛しますが、基本的なプレイルーティンとしてはメインクエストを受注して、指定されたインスタンスダンジョンを攻略して、次のストーリーに進むというのを繰り返すMORPGとしてはオーソドックスな形式。
アクション面でのメインコンテンツとなっている「インスタンスダンジョン」は、各フィールドごとに用意されており、メイン・サブのクエストが関わってくるステージ型のダンジョンと、ダンジョンの最終ボスと戦えるハーフレイド、装備を強化(成長)するために必要なアイテム「製錬石」が手に入る模擬テストという1日3回ずつ攻略できる限定コンテンツが用意されています。
ステージ型ダンジョンでは敵モンスターと破壊可能なオブジェクトが配置された1本道のインスタンスを進み、奥に待ち受けるボスを倒すとクリア。
難易度はイージー・ノーマル・ハードの3種類あり、ステージや難易度によって装備を強くするために必要な石やペットの卵といったレア報酬が用意されているので、何度もダンジョンに挑戦する周回PTの募集もよく見かけます。
操作方法はキーボードとマウスがメインになっていて、ある程度はキーコンフィグでカスタマイズできます。
スキルのCT(クールタイム)は全体的に短く、通常攻撃とスキルをうまく組み合わせて攻撃しつつ、敵に囲まれたり、攻撃を受けてダウンした時は緊急回避スキルで立て直す。基礎的なプレイングを覚えれば幅広い層のゲーマーが楽しめると思います。
ガッチガチな攻略が必要とされるようなコンテンツは少なく、ライトユーザー向けという印象ですね。
また、本作はゲームパッドでのプレイにも対応しており、公式サイトにて動作確認が取れている製品が紹介されています。
そしてパッドの操作感は……及第点といった印象。よくもなく、わるくもなく。
筆者は主にパッドでプレイしていますが、慣れてきた今となっても思ったとおりに操作できないことが1日に何度かある感じ。
新しいゲームに触れるときはどうしても過去に遊んだゲームの操作感に引っ張られてしまうものですが、とりあえずカバンやマップなどのメニュー関連の操作性の向上に期待したいところです。
「採集が終わった」「終わるとどうなる?」「知らんのか、採集が始まる」
『アルピエル』にはダンジョン攻略の他に「採集」「製作」という楽しみがあります。
フィールド上に存在する「オレンジの木」「亜麻」など、素材となるアイテムを集めて、キャラクターのコスチュームやマイルームの家具、ダンジョン攻略などで役立つ料理アイテムなどを作るというもので、こういった生産型コンテンツが好きなユーザーも『アルピエル』には非常に多いのが特徴。
アクション性の高いダンジョンコンテンツと、まったりと自分のペースで楽しめる生産系コンテンツ。この2つが『アルピエル』の柱となっているわけです。
【製作】
アイテムの製作にはNPC「バルティオン」やメニュー画面から確認できる「救護団」の納品依頼を達成することで得られるポイントを使ってレシピを購入。必要な素材を集めて、「製作」ウィンドウから作りたいアイテムを選んでポチッとするだけ。とてもカンタン。
数分から数時間の製作時間を経て、アイテムが完成するというシステムになっていて、料理や素材の加工は数分から数十分程度、家具やコスチュームなどは数時間かかる場合も。プレイヤーの間ではログインしているうちに採集と素材作りに勤しんで、ログアウトする前に製作時間の長いアイテムをキューにセットしておくのが一般的となっています。
こうして出来た製作アイテムは個人で利用するだけでなく、攻略勢と生産勢をつなぐ市場として「取引所」が用意されているので、ここに出品して販売することも可能です。
「取引所」での購入はNPCの居る場所へ行かないといけませんが、出品はメニュー画面の「カバン」からいつでもできるというのは利便性が高くて好印象ですね。
【採集】
フィールド上にポップするアイテムを集める「採集」。これにはさまざまなアイテムが用意されていて、アイテム製作に必要な素材が手に入ります。
一定の確率で「輝く~」とついた上位素材が沸いたり、「変異した~」とつく特殊な素材もあり、そこから得られるアイテムはレアだけでなく、ユニークも含まれているので、それ目的で生産好きなプレイヤーが集まってPTを組み、フィールドを走り回っていることも。
また、定期的に巨大化した素材がポップするようになっており、これは生産系プレイヤー向けに用意されたレイドコンテンツとなっています。ここからはレア素材を高い確率で多く獲得できるのが魅力。
ただ、この巨大化した「採集物」は非常に時間泥棒なシステム。たとえば0時00分にポップする「巨大なオレンジの木」を伐採したあと、0時20分にポップする「巨大な亜麻」を採集しに行き、0時40分にポップする「巨大な宝石原岩」を採掘していると、また「巨大なオレンジの木」が湧く……といった具合にひたすら採集し続けてしまう恐怖のループが。
ネット上でよく見かける漫画「COBRA」を元にした「知らんのか」ネタをもじって、「採集が終わると採集が始まる」というやりとりをチャット上で見かけたときは思わず笑ってしまいましたが、生産をメインに遊んでいるとマジでそうなるから笑えない。
自分のペースでまったり遊ぶのに最適な時間泥棒ゲーム
『アルピエル』におけるメインコンテンツはダンジョン攻略と生産コンテンツであると先ほど紹介しましたが、第3の柱としてチャットなどのコミュニケーションも重要なコンテンツになっていると感じています。
チャットは「一般」「パーティー」「ささやき」「サークル(ギルド)」「拡声器(サーバー全体)」といったどこにでもある一般的なシステムのほか、「期生」「班」というカテゴリのチャット欄が用意されています。
『アルピエル』ではプレイを開始した時期に応じて1期生、2期生といった「学年分け」が行われ、ソノラ班、デンジャー班といった教育担当の先生ごとに「班分け」が行われます。これに該当するユーザー同士でやり取りできるように用意されているのが「期生チャット」「班チャット」で、これが全体チャットとして機能しているのが現状です。
学年単位、あるいはクラス単位の「LINE」グループだと思えばイマドキっぽいかも。
特に現時点で全ユーザーが対象となっている「1期生」チャットの勢いは凄まじく、ゴールデンタイムともなれば滝のような勢いでチャットが流れ、ちょっと目を離した隙に表示できるログの限界を超えてしまうことも。
チャットが活発なのはオンラインゲームにおいて歓迎すべき点ですが、『アルピエル』のチャットはタブを切り替えるタイプになっていて、各タブでは該当するチャットのみが表示される仕様となっています。これについて不満を感じているユーザーが多いようす。
1つのタブで複数のチャンネルのチャットが表示できるなど、ユーザー側でカスタマイズできるように改善してほしいという声をゲーム内外でよく見かけます。
「コミュニケーション」という要素はオンラインゲームのモチベーションにとても大きく影響するので、開発・運営がユーザーの期待に応えられるかどうかが今後の流れを左右しそうだなと感じています。
約2週間にわたってプレイしてみて、近年の大作オンラインゲームに比べるとユーザー規模は決して大きいとは言えないが、それらが誇る膨大なコンテンツ量に疲れを感じているというゲーマーにとって、『アルピエル』は自分のペースで遊びやすい作品だと感じました。
「日課」と揶揄されることの多いデイリーコンテンツも軽く、プレイヤーに要求するゲームの腕前(PS)も厳しいものではない。
課金による有料コンテンツも投入されているが、ゲームバランスに大きな影響を与えるほど、無くてはならないというほどのものではありません。
『アルピエル』は可愛らしいキャラクターたちを操作して動的な要素であるダンジョンの攻略と、日々のコツコツとした積み重ねが必要になる静的な要素である生産コンテンツを、可愛らしいキャラクターたちとともに、ゆったりと自分のペースで楽しみたいというゲーマーにおすすめできる作品。
先行してスタートしている他国のサービスでは「ハンナ」「リーシャ」といった追加キャラクター、新コスチュームなど、日本ではまだ未実装となっているコンテンツも多いので、今後のさらなるアップデートにも期待したいところ。