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「Tree of Savior 在庫」の先行体験会&座談会が開催。MMORPGファンの注目を集めるタイトルの現状と今後の展開が明らかにされた会場の模様をレポート


TOS 相場
 ネクソンは2015年8月30日,同社がサービスを予定しているMMORPG「Tree of Savior」(以下,ToS)の先行体験会および座談会を開催した。既報のとおり,このイベントではToSの日本におけるクローズドβテスト(CBT)が10月1日より実施されるとの発表が行われ,会場ではそのCBT相当のゲーム内容を体験できた。またイベントの後半には座談会が開催され,ネクソンのスタッフとToSの開発者が参加者の疑問に回答した。本稿では,その模様をレポートしていこう。
 イベントの冒頭では,ToSがどのようなゲームであるのかがあらためて紹介された。本作は,韓国IMC Gamesによって開発されているMMORPGであり,ファンタジーを基調とした暖かみのある2Dグラフィックスを特徴としている。昨今のMMORPGでは3Dグラフィックスを活かしリアル路線を強調するタイトルが主流となっている中,あえて絵画調の表現を施して独自の方向性を追求しているとの説明がなされた。
 またシステムは一見するとクラシカルなMMORPGのようではあるが,その実ハイエンドな技術を駆使して新しいプレイフィールを実現しているとのこと。黎明期のMMORPGをベースに,プレイヤー同士の行き交うフィールドや,クエスト,転職などを再定義するような進化を模索しているという。
 プレイヤーが最初に選べるクラスは「ソードマン」「アーチャー」「ウィザード」「クレリック」の4種類。そのあと転職を繰り返すこととなるのだが,プレイヤー各自がどういったクラスを経てどんなスキルを習得していったかによって,最終転職時のクラスにおける個性が変化する。
 フィールドは,地域ごとにローディングが生じるセパレートタイプ。ただし構成は1本道ではなく,低レベルマップの隣に高レベルマップが配置されるような構造となっている。
 またメインストーリー以外の,いわゆるサブクエストは基本的にプレイヤー自身が探すこととなる。現在主流のMMORPGではNPCの頭上などにアイコンが表示され,一目でどこからサブクエストがスタートするのか分かるようになっているが,本作ではプレイヤーが能動的にNPCに話しかけないと,クエストが存在するのかどうかすら分からない。そういった状態をあえて作り出しているのだ。
 そのほかアイテムの製造では,独自の名称を付けたり,一言説明を加えたりできる。またプレイヤーの行動はさまざまな観点から「冒険日誌」に記録されていき,特定の条件を満たすとアイテムなどを取得できるという要素も紹介された。いわゆるペットシステムの「コンパニオン」も用意されており,一部のクラスは騎乗して戦うことも可能だ。
 そしてプレイヤーのステータスは,レベルアップするごとに得られるステータスポイントを「力」「体力」「知能」といった項目に振り分けて決定する。これも転職におけるクラス選択同様,プレイヤーの個性を決定づける大きな要因となる。
 今回の体験プレイでは,ソロプレイのパートを約2時間,5人1組のパーティプレイを約1時間体験できた。ソロプレイの具体的な内容は,別途掲載したプレイレポートに詳しいので興味のある人はそちらを参照してほしい。会場では,多くの参加者が1体のキャラクターでメインストーリーを体験していたが,中には複数のキャラクターを作り,異なるクラスの手応えを確かめているケースも見られた。
 パーティプレイでは,あらかじめ用意されたレベル150のキャラクターを使用して,ダンジョンに挑戦。こちらでは,ダンジョン内のNPCに話しかけてサブクエストを受託し,最終的にボスモンスターを討伐するといった展開が体験できた。
このイベントに参加できたのは,高倍率を潜り抜けて当選した21名のみ。参加希望者の多さが注目度の高さを物語っている 
パーティプレイは,後述の座談会で指摘されたように至らない部分も散見されたが,全般的には面白く,今後のブラッシュアップに期待が高まる内容だった 
座談会では今後の開発予定や日本における運営方針なども発表に
 体験プレイのあとに行われた座談会では,IMC Gamesの副社長にしてToSの開発統括を務めるキム・セヨン氏と,ネクソン 運用チームの今濱隆一郎氏および細田 光氏が参加者から寄せられたさまざまな質問に答えた。とくにキム氏の回答の一部には,先行する韓国でもまだ明らかにされていない情報がある模様なので,ToSに興味のある人はぜひご一読を。
左から細田 光氏,キム・セヨン氏および通訳担当,今濱隆一郎氏 
 最初に発表されたのは,CBTのスケジュールだ。テスターの募集開始が8月31日,CBT本編は10月1日から5日間程度の実施を予定している。その後の予定はCBTの結果次第という部分もあり明確にはされていないが,2016年内のサービスインを目標とした展開になるという。
 このテストの大きな目的は,大人数でログインしたときの接続状況や,サーバーの安定性の確認となる。
 また本作はFree-to-Play(基本無料)モデルを採用しているが,どういった部分を有料にするかはまだ決まっていないという。今濱氏は,「まずはゲームとして面白くすることを最優先に考えている」とし,「オンラインゲームのコアプレイヤーである私自身がお金を払ってもいいと思えるようなモデルを構築したい」と話していた。
 具体的なゲーム内容に関しては,まずパーティプレイ時にパーティメンバーの位置がミニマップに表示されず不便だという意見が挙がった。これは日本でのCBT実施前に改善する予定だという。
 また2時間ほどで早々とソロプレイが厳しくなるという点に関しては,現在バランス調整を進めている最中とのこと。ただキム氏個人としては,できればパーティプレイを中心に楽しんでほしいと述べていた。
 ゲーム内のプレイヤーコミュニティとしては,一般的なギルドに相当するシステムを用意し,拠点を持ったり共同生産をしたりできるほか,ギルド専用のボス討伐クエストなどを楽しめるようになっている。ただし,ギルドを創設できるのは特定のクラスに限られるという珍しいシステムになっているそうだ。
 またコミュニティ面では,フィールドボスがランダムでポップし,近くにいるプレイヤー同士で共闘するようなことも可能になっている。
 さらに,エモーションなどのプレイヤーの感情を伝える手段が乏しいという意見も出た。開発チームでは,チャットで「シール」(LINEのスタンプのような機能)を使えるようにしているが,リクエストが多いようであればキャラクター自体の表情を変えるエモーションコマンドなどの追加を検討するという。
 またプレイヤーがログアウトしてもキャラクターがゲーム内に残り,簡単なメッセージなどを他人に伝えられるような機能も用意しているとのこと。
会場では,プレイしたばかりの先行体験バージョンについて,パーティごとに感想をまとめる時間も設けられた 
 いわゆるエンドコンテンツは,プレイヤーの陣営同士で戦争を続けたり,レベルキャップを開放して上位コンテンツを次々に追加していったりする形式は,あまり考えていないとのこと。
 それよりは,同じレベル帯で遊べるコンテンツを充実させていく方針だという。とくにレベルキャップに達したプレイヤーに向けては,レイドボスをはじめさまざまなコンテンツの導入を予定しているそうである。
 対人要素は,5vs.5の対戦システムを開発中。こちらは,ゲーム本編とは異なるさまざまな戦略/戦術を活かせる内容を目指しており,あらかじめパーティを組まなくとも,1人でエントリーしてほかのプレイヤーとチームを組めるシステムになっている。ただ,連戦すると前の試合で味方だったプレイヤーが,次の試合では敵同士になる仕様をどうするか検討しているとのことである。また勝者には特別な称号が与えられるという。
 プレイヤーキャラクターの外見の差別化要素として,最初は性別と髪型,クラスごとの衣装くらいしか用意されていないが,ゲームの進行に沿ってカスタマイズできる部分が増えていくという。たとえばクエストを通じて新たな髪型を選べるようになったり,頭装備など外見に影響する装備を手に入れたりできる。
 またクラスに関しては,生産に特化したものも用意されている。代表的なのはウィザード系列の「ALCHEMIST」で,それ以外にも装備の修理や矢の生産ができるクラスがいるという。生産特化とは言っても,それまでの転職過程で習得したスキルを使用できるので,効率は落ちるものの,まったく戦闘ができないということはない。
 ちなみに1アカウントあたり最初から複数のキャラクターを作成できるので,いくつかの転職パターンを試すこともできる。
 なお人数上限を設定した隠しクラスが存在するとの噂が一部に流れているが,これは誤りで,あくまでも転職に必須となる条件の達成が難しいだけともつけ加えていた。
 話題はボスモンスターにもおよんだ。ボスモンスターにはそれぞれ属性があり,火に対する氷のように正反対の属性を持つスキルで攻撃すると与えられるダメージが大きくなる。ただし火属性のボスモンスターに火属性のスキルで攻撃すると,ダメージを与えるどころか体力が回復してしまうので気を付けてほしいとのことだ。
 またボスモンスターを討伐すると一定確率でドロップする「ボスカード」は,コレクション要素として楽しめるほか,特定のNPCを介して別のアイテムと交換できる。また特定のクラスでは,ボスカードを所持していると,そのボスモンスターを召喚できるとのこと。さらにプレイヤー間でカードバトルを楽しむこともできるが,勝敗は「名前の長さ」や「足の数」といった,非常にシンプルな理由で決定するそうだ。
 ToS独特のグラフィックスやサウンドに関しては,キム氏の旧知の人間を集め,非常にこだわった体制で制作しているという。参加者からは全般に好評の声が挙っており,キム氏も「嬉しく思う」と返答していた。
 とくにToSのアートディレクターを務めているMAGGI氏が起用されることになったのは,同じくIMC Gamesが開発した「グラナド・エスパダ」でキム氏と一緒に仕事をしたことがきっかけになったとのこと。キム氏は「大切な仲間の一人。今後も一緒に仕事をしたいと,お互いに考えている」と話していた。
 またBGMは,「グラナド・エスパダ」で惜しくも韓国内での受賞を逃したのときの悔しさをバネに,最高の仕上がりを目指したとキム氏は語った。ゲーム内のデータはあまりレートの高くないMP3形式であるため,本来のクオリティを再現しきれていないとのことで,何らかの形で高音質のバージョンを提供したいと話していた。
 そのほか,同時接続者数が増加した場合の対策について,規定の人数を超えるとチャンネルが順次増えていく仕様になっていることや,冒険日誌のランキングは,あとからゲームを始めたプレイヤーが先行者に勝つのが難しくなるため,週ごとなど期間を区切った項目の導入も検討していることなどが明かされた。
 座談会の終盤には,今濱氏が日本におけるToSの展開についてあらためて言及した。それによると,本作はまだ韓国でも開発中のタイトルであり,またゲーム自体もサンドボックス的な自由度の高さを内包しているため,必ずしも最初に広く宣伝して大人数のプレイヤーを集めることが正解ではないという。可能であれば,人数を限定したCBTを繰り返し,「これなら多くの人が楽しめる」という段階に至って初めて広く世間にアピールしたいというのが,今濱氏の意向のようだ。また,ネクソンがサービスしているほかのタイトル同様,公式Twitterや公式生放送なども予定しているそうである。
 最後に今濱氏は,自身が十数年前にオンラインゲームに初めて接したとき,「こんな楽しみ方もあるのか」と驚いたことを振り返り,ToSではその感動が蘇ったと語る。当時,「もっとグラフィックスが良ければ」「キャラクターのアニメーションがなめらかなら」……と妄想していたことが,ToSでは実現されていると今濱氏は述べ,今後の展開に期待してほしいとして座談会を締めくくった。
TOS RMT

2015/9/24 18:55:18