「Tree of Savior RMT」はクラスシステムの大改編でさらに手軽なキャラ作成が可能に。レベル1から最後の転職を終えるまでは約18時間
ネクソンがサービス中のMMORPG「Tree of Savior RMT」にて,2019年2月27日にアップデート「Re:Build」が実施され,これまでのクラスシステムが根底から大幅に改編された。「ここまで変えちゃって大丈夫?」とちょっと引くぐらいの大変更であり,プラスに捉えている人もいれば,仕様変更が自分のキャラビルドに直撃して困った人もいると思う。すべてのプレイヤーへの影響が大きなアップデートだ。
ただ,現在のクラスシステムは非常に分かりやすいものになっており,これから本作を始める人や久しぶりに復帰する人にとっては,嬉しい点も多々ある。本稿では,Re:Buildによって何が起きたのかを紹介していきたい。
なお,今回のアップデートによって,筆者が2018年4月に書いた「最初からプレイしたら,満足のいく転職が終わるまでどれぐらいかかるのか」を実際に試したプレイレポートが,現環境ではまったく役に立たなくなってしまった。仕切り直しに再度,最初からキャラを育てて時間を計測してみたので,「今なら何時間あれば転職が終わるの?」と気になる人はぜひ参考にしてほしい。
もともとの本作のクラスシステムは,「ランク」と「サークル」を軸に転職を進めていくものだった。プレイヤーキャラクターのレベルを表す「キャラクターレベル」と,そのとき取得しているクラスのレベルを表す「クラスレベル」が存在し,クラスレベルが最大の15に到達するごとに,転職が発生する。そして,転職を繰り返すごとにランクが上がり,最大10ランクまで育成できる仕組みだ。
転職では,違うクラスを選択するだけでなく同じクラスを選ぶことも可能で,その場合はそのクラスのサークルが上がる。例えば「アーチャー」でゲームを始めて,最初の転職でもう一度アーチャーを選ぶと,「アーチャーのサークル2」となり,スキルがさらに強化できるようになったり,新たなスキルを取得できるようになったりする。
では,これらのシステムがRe:Buildでどうなったかというと,ランクもサークルもまさかの全削除だ。新しいクラスシステムでは,転職のチャンスは3回となる。その代わり,選んだクラスはサークル3相当のクラスレベル45まで育成が可能だ。
クラスレベルが45に到達すると,また次の転職先を選択できる。以前と比べて,転職の回数が1/3に減った代わりに,サークル3までは必ず取得することになったと考えると分かりやすいだろうか。
また,これまではランクが高くなるごとに,新たに転職できるクラスの種類が増えていたが,その仕組みも撤廃されている。最初の転職の時点で,「ソードマン」や「アーチャー」といった系統ごとに,好きなクラスへと転職できる。系統によっては,いきなり15種類もの転職先が提示されるのだ。
さて,これだけ大きな今回の改編は,なぜ行われたのか。ネクソンは,「これまでの仕組みでは低ランククラスが高ランククラスを補助するだけの意味しかなかったため,どのクラスを選択しても個性と価値を失わないようにする」ことを目標にしたと説明している。
Re:Build前までは,高ランククラスが非常に強く,最終的に攻撃スキルは高ランククラスのものしか使わない。そのため低ランククラスは,高ランククラスと相性の良いバフやデバフを持っているかどうかで決めるものでしかなかった。本作のクラスは数多くあるが,実際に取るべきものはわずかだったわけだ。
今回のアップデートでは,どのクラスも同ランク扱いになっただけでなく,それぞれのスキルにも調整が入っている。そのため,クラス選択の幅が広がり,「どのクラスにしようかな」と悩む楽しさは大きく増したと言えるだろう。
……と言うと,良いことばかりのアップデートに思えるかもしれないが,大改編されたのはこれだけではない。Re:Buildによって,クラスの系統も増えているのだ。
これまでは,「ソードマン」「アーチャー」「ウィザード」「クレリック」の4系統でクラスが用意されていた。ここにRe:Buildからは,新たに「スカウト」が追加されている。スカウトは,攻撃特化のクラスと,サポーターとしてのスキルを持つクラスをまとめた系統だ。極端なクラスがまとまっている気はするが,転職で両方のタイプを取ることもできる。
問題は,このスカウト系統に分類されているクラスが,もともとの4系統から引っこ抜かれてきたものだということだ。新クラスの「アウトロー」「アサシン」以外は,「コルセア」や「バレットマーカー」「リンカー」など,ほかの系統から移動してきたクラスを集めたものである。
かいつまんで言うと,これまでのキャラビルドが通用しなくなった。例えば,筆者は以前バレットマーカーを育成したが,このキャラは通常攻撃を大幅に強化できる「クォレルシューター」のサークル3を経由して,通常攻撃を撃ちまくるビルドだった。しかし,スカウト系統ができたことで,バレットマーカーだけが移動してしまったので,現在の仕様ではクォレルシューターを経由できないのである。既存プレイヤーにとっては,大幅なビルド変更が必要となるのだ。
また,Re:Buildによってステータス振りもなくなっている。正確には,クエストでもらえるぶんのステータスポイントは割り振れるのだが,レベルアップでは一切ポイントがもらえなくなった。ステータスはクラスごとに成長率が定められており,それに沿って自動で成長するのである。
ここも分かりやすくはなったが,特化したステータス振りのビルドができなくなったとも言える。
Re:Buildではそのほかにも,ステータスや装備の効果,さまざまなバランスなど,多岐にわたっての変更が行われている。詳細については公式サイトを確認してほしい。
大きな変更となった本アップデートだが,個人的にはポジティブに捉えている。これまでのビルドがバッサリ切られてしまい,悲しみを背負ったのは確かなのだが,下記に掲載する「最初からプレイ」を試して,今の仕様のほうが面白いと感じたからだ。せっかくの転職が,高ランククラスまでのつなぎでしかなかったのが残念だったのは確かで,現環境でズラっとクラスを並べられて「数多くの転職先から選んでいいよ」と言われるのは,それだけでワクワクする。既存プレイヤーにとって賛否あることは理解しているが,これから遊んでみようという人には,2018年4月にバレットマーカーを育てたときよりもオススメできる。
長々と新仕様を紹介したところで,実際のプレイの様子をお伝えしていこう。
今回も,「いきなり最高率の狩場にこもってレベル上げ」などはせず,メインクエストを中心にソロプレイで気ままに育てるという方針で進めている。
注意点としては,本作ではキャラクターを育成すると「チームレベル」が上がり,チームに属するキャラクターが取得する経験値にボーナスが入るため,筆者は多少その恩恵を受けている。また,ほかのキャラクターでマップを100%踏破したときにもらえる「経験値カード」が,ほかのキャラクターでも踏破扱いになってすぐにもらえるので,その点でもブーストがかかっている。
1000円ほどで30日間さまざまな特典が得られる有料サービス「トークン」も購入しており,モンスター討伐時の経験値が+30%されているのも最初に白状しておく。
といった感じで,いろいろな面でこれから始める人よりは有利ではあるのだが,実はそれほどレベリングに影響はない。若干早くなっている程度で,初心者であってもそれほど変わらないペースでレベルを上げられると考えていい。
そんなわけで,ゲームスタート。今回は新系統のスカウトを選んでみた。スカウトは,一定時間透明化して敵から狙われなくなるスキル「クローキング」を取得できる。これがあるとソロプレイが非常に快適になるので,MAXまで取得することを推奨したい。
最初の転職までは,適当にクエストをこなすだけで,30分もあれば到達するだろう。スカウトの場合,最初の転職で10クラスから選択することになる(隠しクラスのシノビは,2回目以降の転職で条件を満たしていれば選べる)。
今回筆者は,新クラスの「アウトロー」を選択した。その,専用衣装のですね,胸元とふとももがイイんですよ,すごく。
新しいクラスシステムにはサークルがないので,アウトローをクラスレベル45まで育成することになる。クラスレベルは1~15,16~30,31~45の3段階で区切られており,該当のレベル以上になれば新たなスキルが解禁され,それまでのスキルもさらに強化できるようになる。このあたりは,サークルでクラスが強化されていたころと,感覚的には変わらない。
クラスレベルが45を迎える時点で,キャラクターレベルは128前後。クエストの進行度合いとしては「フェディミアン」の街に到着して,近くの「魔術師の塔」を攻略途中といったところだ。筆者は,2018年4月の段階ではここまでくるのに約8時間かかったのが,今回のプレイでは約6時間20分に短縮されている。
なぜこれだけ差があるのかというと,Re:Buildによってクエストで得られる経験値が上方修正されたからだ。手が加えられているのは主にメインクエストで,獲得経験値はなんと従来の3~5倍ほど。「こんなにもらえんの!?」というぐらい一気に獲得でき,メインクエストを進めていくだけで簡単にレベリングできる。もはやサブクエストをやる必要すらない。
しかも,メインクエストの完了で現在いるマップの適正レベルから外れてくると,「早く行け」と言わんばかりに,勝手に先のマップのメインクエストも取得してくれる。基本的に,取得されたメインクエストを順にこなしていくだけでレベルが上がっていくので,初心者でも困ることはないだろう。
さらに,メインクエストを進めていくと,強力な装備までもらえる。今回プレイした範囲なら,クエストでもらえる装備を使っているだけで十分だ。
フェディミアン以降も,レベリングはメインクエストを追っていく形で問題ない。むしろ,このあたりからクエストでもらえる経験値のぶっ飛び具合が,より体感できるようになってくるはずだ。
例えば,次の区切りとなるアサシンのクラスレベル16になるころには,キャラクターレベルが179前後となる。以前の環境なら,キャラクターレベル150~160あたりは,敵の数が非常に多い「魔族収監所」にこもって稼ぐと効率が良かった。しかし現環境では,メインクエストの経験値だけでこのレベル帯を飛び越えてしまうのだ。狩りが不要どころか,筆者は魔族収監所に立ち寄ってすらいない。そこで受けられるクエストも当然すべて無視である。
キャラクターレベル200ぐらいからの狩場だった「クラント沿岸」についても同様で,ここでの狩りすら必要ない。このマップにはメインクエストがあるので,ついでにいくつかのサブクエストはこなしたが,それだけだ。
アサシンのクラスレベル1~45にかかった時間は,約11時間40分。クラスレベル45に到達した時点でのキャラクターレベルは276,「カレイマス」でのクエストを一通り終え,「テブリン鍾乳洞」のメインクエストを始めたあたりだ。
ここで最後の転職が行えるわけだが,このレベルは以前のクラスシステムにおいて,最高の8次クラスを選べるようになる,8ランクに相当する。2018年4月に試したとき,ここまで来るのにかかった時間は,イチから始めて約42時間。対して今回は,なんとトータル約18時間だ。半分以下である。
筆者は何度もキャラクターを作っているため,進め方に慣れているというのはあるが,今回は勝手に表示されるメインクエストを順に追ってきただけで,効率の良い狩場などは一切使っていない。仮に初めて本作に触れるという人がプレイしても,ここまで到達するまでの時間が大きく延びるようなことはないだろう。
アドバイスをするなら,街の露店で必ずバフをもらうこと。それと移動時間を短縮するため,最初の街のNPCから,街にワープで帰還するためのアイテムを購入することは覚えておこう。クエストを完了すると,報告するNPCの元にワープできるが,これを使う前にアイテムで街に帰り,補給を済ませてからNPCの元に飛べば,徒歩での移動が減って効率的だからだ。
Re:Build後の本作は,自分の作りたいキャラビルドを手軽に作れる環境となった。先に述べたとおり,転職のワクワク感は大きく増しており,レベル上げも簡単なので,「久しぶりに触ってみようかな」「とりあえず好きに作ったキャラを動かしてみたい」という人は,ぜひ遊んでみてほしい。